【日本最古】銀座「ビアホールライオン 銀座七丁目店」で昭和にタイムスリップ|文化財の壁画と伝説の一杯

グルメ

銀座の目抜き通り「中央通り」に、扉を開けた瞬間に昭和9年へタイムスリップしてしまう場所がある。「ビアホールライオン 銀座七丁目店」。1934年創業、現存する日本最古のビヤホールであり、サッポロライオングループの総本山とも言える一軒だ。国の登録有形文化財に指定された堂々たる空間、圧巻のガラスモザイク壁画、そして58年間ビールを注ぎ続ける達人まで、知れば知るほど飲みに行きたくなるこのお店の魅力をたっぷり紹介したい。

夕暮れの銀座ライオンビル外観、1階ビヤホールライオンの入口アーチ
銀座七丁目、数寄屋橋交差点近くに建つ「銀座ライオンビル」。1階が日本最古のビヤホール

🍻 日本最古のビヤホールへようこそ

「ビアホールライオン 銀座七丁目店」は、1934年(昭和9年)に「大日本麦酒株式会社」(現在のサッポロビール・アサヒビール・エビスビールなどの前身にあたる会社)の直営店として誕生した。以来90年以上、一度も場所を変えることなく同じ建物・同じ空間でビールを注ぎ続けている、現存する日本最古のビヤホールだ。運営するのはサッポロホールディングス傘下の「サッポロライオン株式会社」。都内をはじめ全国に「銀座ライオン」「銀座ライオン 銀座五丁目店」など多数の系列店を展開する同社にとって、この銀座七丁目店はまさに”総本山”にあたる旗艦店である。

晴海通りから見える黄色いライオンビヤホールの看板と人通り
晴海通り沿い、遠くからでも目を引く黄色い「LION」の看板が目印
豆知識
1階のビヤホールは電話・オンラインともに予約不可。直接来店した順に案内されるスタイルだ。特に金・土曜や祝日前の夜は入店待ちの列ができることも珍しくない。狙い目は平日のランチタイム後や、夕方の混雑ピーク前(開店直後〜17時頃)。少しの工夫で、待たずに名建築の中でゆっくり過ごせる。
開店前後にできるビアホールライオン銀座七丁目店の入店待ちの列
週末の夕方は入店待ちの列ができることも。並ぶ価値は十分にある
ビアホールライオン銀座七丁目店の入口、食品サンプルが並ぶショーケース
入口脇にはメニューの食品サンプルがずらり。何を食べようか迷う時間も楽しい

🏛️ 国の登録有形文化財、圧巻の建築美

この銀座ライオンビルは2022年(令和4年)2月、国の登録有形文化財(建造物)に指定された。文化庁のデータベースでも「我国ビヤホールの一大傑作」と評されるほどで、鉄筋コンクリート造・地上6階地下1階という建物そのものに加え、1階ビヤホールの内装は開業当時からほとんど姿を変えていない。重厚な梁組みの天井、琥珀色の照明、幾何学模様のモザイクタイルの床……どこを切り取っても絵になる空間で、ビール片手に建築鑑賞ができるというのは、なかなか他では味わえない体験だ。

圧巻のガラスモザイク壁画

店内に足を踏み入れて誰もが最初に目を奪われるのが、カウンター奥の壁一面を飾る巨大なガラスモザイク壁画だ。麦の穂を刈り取る女性たち、たわわに実った葡萄、そして中央には愛と平和の象徴とされるアカンサスの花があしらわれ、縦2.75m×横5.75mという迫力あるサイズで、ビールの原料である麦の収穫の様子を描いている。

銀座ライオン銀座七丁目店の正面大壁画、麦の収穫を描いたガラスモザイク
店内奥の壁を飾る巨大ガラスモザイク壁画。麦の収穫の様子が描かれている

店内に掲示された解説パネルには「日本初のガラスモザイク壁画」「全256色のガラスモザイクを使用」「作者はこの256色を生み出すために46,000個のガラスモザイクを製作」と紹介されている。銀座ライオン公式サイトの表現では「わが国で初めてすべて日本人の手によって制作されたガラスモザイク」とされており、外国人の手を借りずに国内で作り上げた例としては確かに初めてのものだったようだ。1934年当時、これほどの規模のモザイク壁画を一から手作業で仕上げたと思うと、その執念にただただ圧倒される。

店内に掲示されたガラスモザイク壁画の解説パネル
店内に掲示された壁画の解説パネル。使用色数や制作背景が記されている

壁画だけでなく、店内の壁面のあちこちにも小さなモザイク装飾が散りばめられている。花瓶に生けられた花を描いたモザイクなど、探しながら店内を見渡すだけでも楽しい時間になるはずだ。

店内の壁面に飾られた花柄のガラスモザイク装飾
大壁画以外にも、店内のあちこちにモザイク装飾が施されている

椅子とテーブルにも宿る、こだわり

店内で使われている木製の椅子とテーブルは、広島県広島市の家具メーカー「浜本工芸」製と言われている。浜本工芸は無垢材の学習机やダイニングチェアで知られる老舗ブランドで、皇室に学習机が献上されたこともあるという話も伝わっている。赤いレザーの張られた椅子ひとつをとっても長年の使用に耐える確かな作りをしていて、この空間の格を静かに支えている。

ビアホールライオン銀座七丁目店の木製椅子とテーブル、床のモザイクタイル
赤いレザーが目を引く木製の椅子とテーブル。床のモザイクタイルもお見逃しなく

ビール注ぎの達人がいる店

このビヤホールにはもうひとつ、建築と並ぶ大きな魅力がある。それが「ビール注ぎの達人」の存在だ。1948年生まれの海老原清氏は、18歳でサッポロライオンの前身企業に入社して以来、実に58年以上にわたってこの道一筋。銀座五丁目店でのグラス洗いからキャリアをスタートし、新宿・新橋・船橋などを経て銀座七丁目店に配属されたベテラン中のベテランだ。

海老原氏が受け継ぐのは「一度注ぎ」という独自の技法。液体と泡を同時に作りながら一度で注ぎ切るという難しい技で、「右手を11度傾け、左に回転させながら、最後は水平に」という細やかなこだわりがあるという。この店では昭和初期に作られた希少な「スウィングカラン」を備えた1,000リットルのビールタンクを使い、冷却・静置・洗浄を徹底管理。ビールの残量まで細かく記録して鮮度を保っているというから、その本気度は並大抵ではない。サッポロビールから「達人の生」という商品が発売されたこともあるほどの、まさに生きる伝説。カウンターで黙々とビールを注ぐスタッフの姿を見かけたら、それは長年受け継がれてきた匠の技の現場なのだと思うと、いつものビールの味わいもひと味違って感じられるはずだ。

ビールサーバーが並ぶカウンターでビールを注ぐスタッフ
年季の入ったビールサーバーが並ぶカウンター。ここで熟練の技によりビールが注がれる
ビアホールライオン銀座七丁目店の広々とした店内、天井の梁組みとモザイク壁画
280席という広さと、開業当時の趣を残す天井の梁組み。昼から多くの客で賑わう

🍺 こだわりのビールメニュー

主役のビールは、看板商品の「サッポロ生ビール 黒ラベル」をはじめ、キレのある「パーフェクト黒ラベル」、芳醇な「ヱビスビール」、コクの深い「ヱビスプレミアムブラック」まで揃う。ヱビスとヱビスプレミアムブラックを一杯で楽しめるハーフ&ハーフも人気だ。せっかく複数の銘柄が揃っているので、一種類に決めきれない人は、黒ラベル・パーフェクト黒ラベル・ヱビスを一杯ずつ頼んで飲み比べてみるのもおすすめ。同じ「生ビール」でも銘柄によって驚くほど味わいが違うことに気づくはずだ。

※価格は取材時点のもの。ラインナップは季節により変動するため、最新情報は公式サイトでご確認を。

サッポロ生ビール黒ラベル小グラス700円
看板商品「サッポロ生ビール 黒ラベル」。達人が注ぐ一杯は格別
パーフェクト黒ラベル小グラス760円
キレの良さが特徴の「パーフェクト黒ラベル」
ヱビスビールとヱビスプレミアムブラックのハーフ&ハーフ小グラス810円
ヱビスとヱビスプレミアムブラックを一度に楽しめるハーフ&ハーフ

訪問時には夏季限定の「銀座ライオン ビヤホールSPECIAL」という限定醸造ビールも登場していた。日本最古のビヤホールが監修した特別醸造ビールとのことで、爽快さを前面に出しつつ、後味に飲みごたえのある複雑さを実現したという一杯。こうした季節限定ビールが登場するのも、長い歴史を持つこの店ならではの楽しみ方だ。

限定醸造の銀座ライオンビヤホールSPECIALメニューカード
季節限定で登場する特別醸造ビールのメニュー。売り切れる前にぜひ

🎶 レトロな空間で味わう、特別なイベント

サッポロライオンでは、この歴史的な空間を舞台にした音楽イベントを季節ごとに開催している。2025年春には桜の季節にあわせた「お花見ビヤホール」の装飾期間中、「アルプス音楽団」による生演奏コンサートを実施。同年秋にも「秋のビヤホールコンサート」として、銀座七丁目店を含む都内複数店舗でライブが行われた。過去には通常営業日にも生演奏イベントが企画されたことがあり、いずれも1日3回転ほどのステージ制で開催されているようだ。

昭和9年築の重厚な梁組みと、目の前で繰り広げられる生演奏——普段は静かに時を刻むこの空間が、イベントの日だけは一気に華やかな熱気に包まれる。歴史ある建物とライブならではの高揚感が同居する、まさに非日常の体験だ。開催は不定期のため、訪問前にサッポロライオンの公式サイトやプレスリリースで直近のイベント情報をチェックしておくと、思わぬ特別な夜に出会えるかもしれない。

夜のビアホールライオン銀座七丁目店、賑わう店内とガラスモザイク壁画
夜になるとさらに賑わいを増す店内。イベント開催時はこの空間が特別な舞台になる

🍽️ 外せない名物メニュー

まず頼みたい前菜が「ニシンのマリネ」。脂の乗ったニシンを爽やかな酢の効いたマリネ液に漬け込んだ一皿で、ビールとの相性は言うまでもない。もうひとつの定番が「こんにゃくのピリ辛炒め」。素朴な見た目に反してピリッとした辛味がクセになり、箸が止まらなくなる名脇役だ。

名物ニシンのマリネ880円
爽やかな酸味が効いた「ニシンのマリネ」。まず頼みたい定番の一皿
こんにゃくのピリ辛炒め780円
ピリ辛でお酒が進む「こんにゃくのピリ辛炒め」

複数人で訪れたなら、シェアしやすいホットな一皿として「石焼きジャーマンポテト」もおすすめだ。熱々の鉄板でじっくり焼き上げたポテトにバターがとろけ、大人数でつつくのにちょうどいいボリューム。ドイツ仕込みのビヤホールらしく、豚のすね肉を煮込んだ「アイスバイン」のような重厚な一皿がメニューに並ぶ日もあるようなので、グループで訪れた際はスタッフに相談してみるのも良いだろう。

石焼きジャーマンポテト1080円、バターがのった鉄板料理
大人数でシェアしたい「石焼きジャーマンポテト」。バターの香りがたまらない
豆知識
「数量限定 ローストビーフ」は、その名の通り数量と時間が限られた”幻の”一品。訪問時は開店直後から人気で、じっくり煮込まれた赤身肉が特製ソースと絡み合う贅沢な一皿だった。狙っているなら、入店してメニューを開いたらまず真っ先にこの一品の在庫を確認するのが鉄則だ。
数量限定 銀座ローストビーフ2250円
売り切れ必至の「数量限定 ローストビーフ」。見かけたら即オーダーを

📍 店舗情報とアクセス

「ビアホールライオン 銀座七丁目店」は、銀座のど真ん中、晴海通り沿いという好立地にある。東京メトロ銀座駅から歩いてすぐ、数寄屋橋交差点からもほど近く、銀座を訪れたついでにふらりと立ち寄れる距離感だ。営業時間は曜日によって異なり、イベント開催日は通常と勝手が違うこともあるので、訪問前に最新の営業情報をチェックしておくと安心だ。

店名ビアホールライオン 銀座七丁目店
住所東京都中央区銀座7-9-20 銀座ライオンビル 1F
アクセス東京メトロ銀座駅より徒歩約5分、数寄屋橋交差点近く
営業時間月・火・水・木・日 11:30〜22:00(LO21:30)
金・土・祝前日 11:30〜22:30(LO22:00)
電話番号03-3571-2590
席数280席
予約1階ビヤホールは予約不可(直接来店のみ)

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昼間のビアホールライオン銀座七丁目店、銀座ライオンビルの外観全景
晴海通りから見上げる銀座ライオンビル。1階が日本最古のビヤホール

まとめ

昭和9年から変わらぬ空間で、国の登録有形文化財に囲まれながら、58年選手の達人が注ぐビールを味わう——「ビアホールライオン 銀座七丁目店」は、ただ美味しいビールが飲めるだけでなく、歴史そのものを体感できる稀有な場所だ。銀座で少し贅沢な時間を過ごしたい日は、この重厚な扉を開けてみてほしい。同じ銀座エリアで穴場を探しているなら、こちらの記事も参考にどうぞ。

→ 銀座「オステリア ダ アダ」立ち飲みエリアの記事はこちら

最新の営業時間やイベント情報は公式サイトでチェック
季節限定メニューが登場していることも

銀座ライオン公式サイトを見る

参考・出典:
銀座ライオン公式サイト 銀座七丁目店
文化庁 国指定文化財等データベース
日本ビアジャーナリスト協会「ビール注ぎの達人」インタビュー
サッポロライオン プレスリリース「お花見ビヤホール」
ホットペッパーグルメ 銀座ライオン 銀座七丁目店
※価格・営業時間・イベント情報などは取材時点のものです。ご来店前に公式サイトで最新情報をご確認ください。店内の椅子・テーブルの製造元に関する情報は、店内での案内をもとにしたものであり、独自の裏付けは取れていない点をご了承ください。

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