四谷三丁目の裏路地、街灯もまばらな坂道の先に、真っ赤なネオンが妖しく灯る一軒があります。「新楽記」。外苑前で愛された広東料理店「楽記」が2025年1月に生まれ変わった、古き良き香港の味とナチュールワインを楽しめるお店です。この日は2軒目の訪問でしたが、丁寧な仕事が光る一皿一皿に、すっかり心を掴まれてしまいました。
外苑前の名店が四谷三丁目で生まれ変わった「新楽記」
「新楽記」のルーツは、かつて外苑前にあった広東料理店「楽記」。自然派ワインと本格的な広東の焼き物を組み合わせた個性派の一軒として知られていましたが、2025年1月15日、四谷三丁目に場所を移し「新楽記」として新たなスタートを切りました。厨房には広尾の名店で研鑽を積んだ料理人が入り、香港料理を知り尽くした写真家がプロデュースを手がけるなど、店の背景にも本格志向がにじみます。
コンセプトは「1980〜90年代、古き良き時代の香港料理」。当時の街角や家庭で愛された焼味(ロースト料理)や鹵水(醤油ベースの煮込み)、季節の中国野菜を使った家常菜、鮮魚の蒸し物などを、東京で丁寧に再現しています。派手な辛さや強い香辛料に頼らず、じんわりと奥行きのある中華風スパイスの効かせ方に、店の哲学がよく表れていました。
「古き良き時代の香港料理」とは、屋台料理から家庭料理、特別な日のごちそうまでを含む、香港の暮らしに根づいた食文化そのものを指す言葉です。金銭鶏(鶏レバーや豚背脂を重ねて焼き上げる一品)のように、現地でも作り手が減りつつある伝統的な料理を今に伝えている点も、このお店の大きな魅力だと感じます。
なぜこの立地に?隠れ家的ロケーションの魅力
四谷三丁目駅からは徒歩8分ほど、大通りから一本入った坂道沿いという、決して便利すぎない立地です。けれどそれこそが「新楽記」らしさでもあります。看板を見つけて坂を上り、雑居ビルの左側の階段からそっと入っていく——その道のりから、すでに特別な時間が始まっている感覚がありました。
落ち着いた雰囲気の店内で、親しい人とゆっくり会食するのにぴったりのロケーション。しかも「新楽記」は、看板メニューの窯焼き肉をはじめ、少しずつ色々な料理を試したくなる魅力的なメニューが揃っています。存分に楽しむなら、4名以上のグループで訪れるのがおすすめです。
訪れる際のポイント
できれば4名以上で、多彩なメニューを分け合いながら楽しみたいお店です。人気店のため予約は必須。10名を超える人数の場合は事前にお店へ相談を。
入口はビル正面ではなく、向かって左側の外階段からです。看板の案内を見逃さないようにご注意ください。
新楽記のお店情報
| 店名 | 新楽記(しんらくき) |
|---|---|
| 住所 | 東京都新宿区若葉2-7-1 ビデオフォーカスビル1F |
| アクセス | 東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」駅3番・4番出口から徒歩約8分 JR中央線・東京メトロ南北線「四ツ谷」駅から徒歩約11分 |
| 営業時間 | 18:00〜23:00(料理ラストオーダー21:30目安) |
| 電話番号 | 03-6380-0423 |
| 客席 | 32〜33席 |
| 予約 | 可・推奨(10名以上は要相談) |
| 定休日 | 日曜日、ほか不定休あり |
入っているのは「ビデオフォーカスビル」という雑居ビル。1階に「新楽記」の看板が控えめに掲げられているだけなので、初めて訪れる際は見落とさないよう注意が必要です。
店内の雰囲気
コンクリート打ちっぱなしの天井に木のテーブルが並ぶ、落ち着いた大人の空間。赤い壁や暖色の照明が、香港の古い食堂を思わせる懐かしさを演出しています。接客も終始感じが良く、初めて訪れたお店でしたが、居心地の良さにすっかりくつろいでしまいました。
奥にはオープンキッチンがあり、天井から吊るされた腸詰めや香港ダック(鴨のロースト)が出迎えてくれます。調理の音や香ばしい匂いがダイレクトに届く距離感も、このお店ならではの臨場感です。
実食レポート:忘れられない窯焼き肉と、繊細な一皿たち
この日は2軒目の訪問。ナチュールワインを2本と、看板メニューの「窯焼き肉5種盛り合わせ(2,300円/1名)」、そして限定メニューの「マナカツオ 冬菜蒸し(1,600円)」「干し貝柱と金華ハムの卵白チャーハン(2,600円)」を注文しました。一皿ごとに込められた丁寧な仕事ぶりに、終始驚かされる夜になりました。
ワインはナチュール系を中心にセレクトされ、グラス1,600円前後、ボトルも7,800円前後からと手が届きやすい価格帯。山梨県産ぶどうを使った日本ワイン「SOU」など、和食にも中華にも合わせやすい一本もラインナップされています。中華料理とワインという組み合わせに意外性を感じるかもしれませんが、香ばしい焼き物や複雑な旨みの鹵水と好相性でした。
窯焼き肉5種盛り合わせ——このお店を理解するなら必須の一皿
鴨や豚など、異なる部位・異なる味付けの肉を一切れずつ、丁寧にローストした5種盛り合わせ。「直店名物」の名に恥じない、印象深いシグネチャーメニューです。皮はぱりっと香ばしく、中はしっとりとジューシー。それぞれの味わいがはっきりと違うので、食べ比べる楽しさがあります。このお店を理解するには、まずこのメニューを注文することが必須だと感じました。
個人的に印象に残ったのは、肉に添えられている豆。香ばしい脂の余韻をすっとリセットしてくれる名脇役で、これがあることで最後の一切れまで飽きずに楽しめました。梅風味のたれもさっぱりとした酸味で、脂ののった部位との相性は抜群です。
マナカツオ 冬菜蒸し——この日の限定メニュー
この日は限定メニューとして登場していた、マナカツオの冬菜蒸し。ふっくらと蒸し上げた白身に、旨みの強い冬菜(発酵させた青菜)がたっぷりとのり、香ばしい油をじゅわっとまわしかけた一皿です。限定メニューゆえの一期一会でしたが、その質の高さに完全に驚かされました。
干し貝柱と金華ハムの卵白チャーハン——締めにふさわしい繊細な一品
どの料理も素晴らしく美味しかったのですが、締めに食べた「干し貝柱と金華ハムの卵白チャーハン」がこの日いちばんの驚きでした。一粒一粒のお米がきれいにパラパラとほぐれていて、油はしつこくなく、それでいて干し貝柱と金華ハムの奥深い風味がしっかりと感じられる、繊細な逸品。この一皿だけでも、この店の仕事の丁寧さが伝わってきます。
| メニュー | 価格(税込) |
|---|---|
| 窯焼き肉5種盛り合わせ(直店名物) | 2,300円/1名 |
| マナカツオ 冬菜蒸し(限定) | 1,600円 |
| 干し貝柱と金華ハムの卵白チャーハン | 2,600円 |
| 新鮮パクチーの青唐辛子入りヴィネグレット和え | 2,300円 |
| 蒸し鶏の自家製姜葱醤(ねぎしょうがソース)添え | 2,300円 |
| 豚足の煮こごり | 1,600円 |
| 潮州風大根餅炒め | 1,600円 |
| ハトの潮州風たまり醤油漬け(限定) | 5,500円 |
一品ずつの価格は決して高すぎず、素材や手間を考えればむしろ良心的。強い辛さや濃い味付けに頼らず、中華風のスパイスを絶妙な塩梅で効かせているのも印象的でした。派手さより繊細さで魅せる、大人のための中華料理店だと感じます。
まとめ
外苑前で培われた広東料理とナチュールワインというコンセプトを受け継ぎながら、四谷三丁目という新しい土地で丁寧に再スタートを切った「新楽記」。隠れ家的なロケーション、感じの良い接客、そして繊細な仕事が光る料理の数々——初めての訪問でしたが、また必ず訪れたいと思えるお店でした。次回はぜひ、この日食べ逃した限定メニューの数々にも挑戦してみたいと思います。親しい人との会食先を探しているなら、自信を持っておすすめできる一軒です。
予約は電話または各予約サイトから。
4名以上でのご利用がおすすめです。
参考・出典:
・食べログ「新楽記」
・ホットペッパーグルメ「新楽記」
・一休.comレストラン「新楽記」
・TableCheck「Shin Rakuki」
・BRUTUS「新楽記」紹介記事
・POPEYE Web「新楽記」紹介記事
・新楽記 公式Instagram
※価格・営業時間・アクセス情報などは取材時点のものです。ご来店・ご予約前に最新情報を公式サイト等でご確認ください。


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